地図を見ても分かるけど、喜友名の集落は、全体が碁盤の目のように規則正しく整理されていて、それを取り囲むように石彫りの獅子が、配置されている。獅子像は、部落や屋敷内に他から厄や忌み嫌われるものが入らないように反し(ケーシ)として置かれ、「ヤナムンゲーシ、アシゲーシ」と呼ばれている。周囲に石獅子を配置した村落は、南風原の石獅子群とか各地にあるのだけど、全て現存するのは喜友名だけらしく、とても価値の高いものだそうだ。
さて、その案内板は、58号・伊佐交差点を普天間方面に登り、2つ目の信号を右折した喜友名集落の入り口にあって、1つ目の石獅子もすぐ傍にある。
1.メートーヤマ前のシーサー
メートーヤマ前のシーサーは「ウィユクイビラ」とよばれていた坂道(ビラ)の石積みの上にあったらしく、ウィユクイビラは部落と湧泉までの道のりの途中にある休み場で、夕方になると部落の人々が集まり語り合う憩いの場所だったそうだ。
チブル(頭)シーサーで、まるで池の中から顔をだしているみたいだ。大きな口と目でユーモラスでもあり、西の方角から入ってくる厄を驚かそうとしているようにも見えるね。
2.ナカムトゥ前のシーサー
ナカムトゥ前のシーサーは、民家の家先に南東の方を向いている。つまり村の内側を向いていることになるんだけど、移動されたってことなのかなぁ?この石獅子は、しっかりとした形を保っているせいなのか、宜野湾市指定有形民俗文化財の立て札も後に設置されていたりする。
3.メントー前のシーサー
ナカムトゥ前のシーサーから左に折れ、細い路地を南東に向けてしばらく行った電柱の影にひっそりとあるのがメントー前のシーサー。最初見た時は、ただの石か?と思ったくらいに随分と風化してしまっている。写真だと分かりやすいけど、実際見るとこんな石が自然にあっても不思議じゃないかと思いそうだ。獅子と言うよりゴリラみたいな顔にも見える。小さなガジュマルが石の隙間から顔を出しているのが髪飾りみたい。この石獅子まではクルマでも来れるけど、ここを左折して次のを見に行こうとしたらちょっと厳しいと思う。歩いてはいけるけど、クルマなら一旦戻って大通りから行った方がいいと思う。
4.メーマシチ前のシーサー
メーマシチ前のシーサーは、喜友名の交差点から集落に入る道の突き当たりの角にある。ここを曲がるとゴルフの打ちっぱなしのある道に出るところで、道が盛り上がっている場所。実は、このカーブは、何年も取っているのだけど、対向車にいつも気をつけないといけないこともあって、こんなとこにあるなんてのは全く気づかないでいた。これは、部落の南側を守るシーサーで南東の方角を睨んでいる。これも風化はかなり進んでいて、台座がなければただの岩のようでもある。
5.クラニーグワー前のシーサー
案内板にある順番で紹介しているけど、今回一番捜すのに苦労したのがこのクラニーグワー前のシーサーだ。一度通りすぎてしまい、再度通っても分からず、歩いている学生に聞いてもこの通りにはないはずって言うし、ちょうど通りがかった郵便配達の方に聞いても通りは合っているはずだけどなぁと首を傾げるばかり。再度通りがかった時に歩いているおじぃさんに尋ねたら、そこの駐車場の真ん中にあると言う。真ん中?と思いつつ見ても駐車場の中にはそれらしきものが見えない。そこ、そこと指差されてよくやく分かった。駐車場の敷地の内側から生えているフクギに両脇を守られ、その木陰の中に鎮座していたのだった。うーん、何で気づかなかったんだろうと思ったけど、人間の先入観はこんなものなのかもしれないなぁ。見たいもの以外は目に入らないと言うか・・・。で、この獅子は集落南東を向いてて、南を守っているようだ。
6.イリーグワー前のシーサー
イリーグワー前のシーサーは、クラニーグワー前のシーサーのすぐ近くにあって、東北の角を守っている。坂を下って来たら石すぐ目に入るのだけど、なんか獅子と言うより石塀から顔を覗かしている人みたいだ。横から見るとちょっと悲しげな顔をした人だなぁ。
7.トゥクイリーグワー前のシーサー
トゥクイリーグワー前のシーサーは、以前にも紹介したことがあるけど、通り沿いの坂の途中にあってこれは目立っているのでよく目につく。集落の北東の縁にあり、北側を守るシーサー。7体のシーサーの中で最も状態が良さそうだ。ニッと笑ったちょっと可愛らしいゴジラみたいな感じ。
集落の中央に公民館があるのだけど、そこにある教育委員会の案内板によると、戦前は7基あったが、現存しているのは6基だとある。あれ?数が合わないけど、どうなっているんだろう?今度行ったら尋ねてみようかな。
古老によると、もし分家により集落が拡大し、これらの石獅子より分家者がはみ出すと、獅子像もその前方に移し、新旧問わず広く区民全員がその恩恵が受けられるようになっていたそうだ。それゆえに、集落と獅子像の配置、方向、形の変化を知るうえでとても重要なものらしい。
戦前には、宜野湾市にも普天間、新城、伊佐、嘉数、我如古にも数多くの石獅子があったけれど現存するのは喜友名区だけで、その意味でもとても貴重なものなんだろう。
さらに集落のさらに西側の土盛りの上に獅子の形をしたヒージャーグーフーと呼ばれる石像と、北側の見晴らしの良い高まりにはウフブタと呼ばれる自然石があって、いづれも反し(ケーシ)の性質をもつ貴重な文化財とのことだ。これも捜してみないといけないな。
宜野湾市指定有形民俗文化財
喜友名の石獅子群
平成元年3月31日指定 宜野湾市教育委員会
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