
拾って事務所に持って帰ったらパッションフルーツだと教えられた。

花を見たのはもうちょっとあとだったと思うけど、なんとも変わった花だなぁと思ったものだ。パッションだから「情熱の果物」と思っていたけど、実はキリストの「受難の(花の)実」というのが正解だと知ったのはさらにあとのこと。16世紀に南米に渡ったイエズス会士がトケイソウの1種の花を見て、かつてアッシジの聖フランチェスコが夢に見たと伝える「十字架上の花」と信じ「受難の花( Passiflora )」と呼んだことに由来するそうだ。葉は穂先とユダがキリストを売った代金の30枚の銀貨、5本のオシベはキリストが受けた5つの傷、巻きひげはムチ、脂肪柱は十字架、3本の柱頭は釘、副冠は茨の冠、5枚の花弁と萼(がく)は合わせて10人の使徒を、それぞれ象徴すると見たらしいけど、私にはよく分からない。キリスト教圏外である日本では、花の形は「時計」に見立てられ「トケイソウ」となり、そのうち果実がつくものは「クダモノトケイソウ」になったそうだ。こちらの方が日本人の感覚にはあっているな。ともかく自然の造形って不思議だなと思わせてくれる姿なのは間違いなし、一度見たら忘れられない花だと思う。

最近、何度かこのパッションフルーツを食べる機会があった。名護のファーマーズマーケットやんばるで見栄えはそんなによくは無いけど、安く売っていたのを買ってみた。一般に売られているのは見栄えがいいものなんだけど、見栄えがよくなくても味には関係のないものも多い。それに、ある程度シワがよったものの方が酸味が抑えられと甘みがでてきて美味かったりする。上の写真の左から2番目くらいがよく売られている状態だけど、一番右くらいまでか、もっとシワができるまで熟成させた方がいいと思う。

一番右くらいになってからカットして食べたんだけど、柔らかな酸味と甘みが口いっぱいにひろがるし、細かな種の食感がとても心地いい。これなら酸っぱいのが苦手な人でも大丈夫だと思う。
ひょんなことからこのパッションフルーツが名護のはずれ羽地内海の近くの希望の大地農園で作られてるのを知った。希望の大地は障害者の支援施設。サイトによるとすごい手間をかけながら木で完熟になるまで育てているみたいだし、とても安いなぁと思う。



